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設置公開<2010年7月23日>

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60年前の連載 戸川幸夫「牙王物語」復刻(毎日新聞、11月14日) - 磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)

2018/11/14 (Wed) 20:02:38

 こんばんは。


 子供の頃に読んだ方は多いでしょう。


> アイヌの人々が「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼んで美しさをたたえた北海道・大雪山連峰を舞台に、オオカミと猟犬の混血犬キバを主人公にした戸川幸夫(1912~2004年)の「毎日新聞」連載小説「山のキバ王」が完結してから60年余りになる。「牙王物語」と改題されて、これまで角川書店、講談社、国土社など複数の版元が刊行してきたが、新装版がこのたび、新評論(東京・西早稲田)から復刻された。


> 長く読み継がれてきた「動物文学の最高峰」を改めてひもとくと、自然との共生や動物愛護など現代社会に通じるテーマが息づいていた。晩秋を迎えて既に氷雪に覆われている大雪山の木々がまだ紅葉で燃えていた10月半ば、ふもとの東川町を訪ねて、自然と動物を愛した作家の足跡をたどった。【中澤雄大/統合デジタル取材センター】


> 美しい大雪山連峰のふもとの町・東川 

> 旭川市から南東に18.2キロ、一直線に延びる道道1160号を30分ほど走ると、大雪山連峰の稜線(りょうせん)を遠くに、田園風景が一面に広がる。ここがふもとの町・東川だ。本州よりひと月ほど早く木々は赤や黄色に染まり、稲を刈り取った後の田んぼでは、わら焼きの細い煙が上っていた。

> 「ちょうど良い季節に来られましたね。今が紅葉の真っ盛りですよ。冬になると、この辺りは一面真っ白になります。大雪山の山並みから日が昇ると、ピンク色に染まってひときわきれいですよ」。案内してくれた同町の平田章洋・東川スタイル課長が言う。

> 「写真文化首都」を掲げる町だけに、眺望を何よりも大事にし、町並みも自然に溶け込むように意識されているのだ。全国の腕に覚えのある高校生が集う、町主催の「写真甲子園」も今年で25回を数え、昨年公開の青春映画「写真甲子園 0.5秒の夏」(菅原浩志監督)を見れば、一コマ一コマに東川の魅力がたくさん切り取られているのが一目瞭然。全国で過疎化に悩む自治体は少なくないが、この町は20年で約2割も人口(約8100人)が増えているといい、その理由が何となく分かる気がした。

> 市街地から40分余り、平田さんの運転する車で田園風景を抜け、忠別湖脇の山道を登っていくと、旭岳温泉に着いた。山の天気は変わりやすい。旭岳の山頂は厚い雲に隠れがちだが、この時は「運が良かった」のか、眼前に顔を見せてくれた。噴煙が上がり、まさに大雪山の「主峰」にふさわしい存在感を示している。

> 「大雪山は、1934年に指定された国立公園です。比較的なだらかな尾根筋が続いているので、キバや殺人熊ゴンなど動物たちは連峰を駆け巡ることができると考えても不思議はないでしょうね。戸川幸夫さんも想像力をたくましく働かせたのでしょう」

> ロープウエーに揺られながら、町の歴史などに詳しい西原義弘・大雪山アーカイブス専門員が教えてくれた。


> 大の動物好きだった戸川幸夫 新聞記者から作家に転じる

> <大雪山--何と雄大な呼び名であろうか(略)。それは一つの峰につけられた名ではない。北海道の最高峰2290メートル(ママ。後に2291メートルに標高変更)の旭岳を中心とする大雪火山群と、2141メートルのトムラウシ山、2077メートルの十勝岳を中心とする十勝火山群、これと全く地質、成因を異にする水成岩の石狩連峰(1980メートル)、碧玉(へきぎょく)のごとき然別湖(しかりべつこ)をふもとの原生林に抱く然別火山群によって囲まれた城郭のような一区域の総称であった>

> 56(昭和31)年12月15日付の夕刊2面に載った、記念すべき「山のキバ王」第1回の一文である。この広大な秘境で野性味あふれるキバがやがて人間社会の英知を知り、奇怪な運命に幾度も翻弄(ほんろう)されながらも、たくましく生き抜く姿を翌57年12月まで1年間書き連ねることになる。

> 戸川は幼いころから大の動物好きで、旧制山形高生の時にはニホンオオカミ残存説を信じて山村を歩き回ったという。そうした経験が生きて、毎日新聞記者時代に書いた初めての小説「高安犬(こうやすいぬ)物語」が直木賞(54年下期)を受賞し、43歳で作家生活に入った。

> 「この人がこれから書くであろう一連の動物を扱った作品は、大衆文学に新風を吹き込むものとして、期待していいと信ずる」。選考委員の村上元三が喝破した通り、その後多くの動物小説を執筆し、「動物文学」をジャンルとして確立。さらに従軍体験を生かした戦記ものや伝記、時代小説、児童文学など幅広い作風を誇った。現地取材が旺盛な文筆活動を支え、後年にはイリオモテヤマネコを発見したことでも知られる。

> ちなみに、戸川が北海道へ通ううちに、ネズミから漁網を守るために冬期間を番屋に独りこもる知床半島の老人がいた実話を聞き、創作したのが小説「オホーツク老人」。それを原作とする映画「地の涯(はて)に生きるもの」(60年・久松静児監督)では、主演の森繁久彌が知床・羅臼に長期滞在したことで、あの名曲「知床旅情」が誕生している。


> なぜ大雪山を舞台に選んだのか? 「洞爺丸台風」被害も影響

> 物語は大雪山のふもとにやってきた「東京サーカス団」からヨーロッパオオカミが脱走する場面から始まる。オオカミは山中で、アイヌの猟師が飼う猟犬とであい、5匹の子を産む。その中で最も賢く長く鋭い牙を持った子犬に、作者は「キバ」と名付けた。ある時、妹犬と遊んでいたキバは、「片目のゴン」と恐れられる殺人ヒグマに遭遇し、妹犬は殺されてしまう。決死の思いで天人峡の絶壁に飛び込んだキバは何とか難を逃れたものの、道内最大270メートルの「羽衣の滝」で息も絶え絶えになっていたところを、地元・東川の牧場主の娘早苗に助けられる。彼女の愛に育まれて、唯一心を許すが、やがて野生の血が騒ぎ始める--。

> なぜ大雪山を舞台に選んだのか? 西原さんによると、物語の構想を温めた戸川が北海道庁に「野生地帯はどこか」と問い合わせたのがきっかけという。54年9月に発生した洞爺丸台風(台風15号)によって、日本一の大原生林がすっかりやられて多数の風倒木被害が生じた。そんな大雪山こそが現実味を持たせるに違いない、小説の題材には打ってつけと考えたそうだ。事実を追究する新聞記者出身らしい発想といえる。クライマックスは、迫り来る台風と早苗との別れ、「片目のゴン」との決闘が描かれてゆく。

> 近年でも自然災害に苦しめられてきた。主要舞台の一つ、天人峡温泉の観光名所「羽衣の滝」まで続く遊歩道は土砂崩れで通行止めになっていたが、この夏5年ぶりに開通したばかり。温泉に通じる道道も豪雨のために忠別川が氾濫し、繰り返し寸断されてきただけに、今回の復刻は町にとってうれしいニュースだ。松岡市郎町長も「(大正期の作家)大町桂月が名付け親となったされる『羽衣の滝』をはじめとする大雪山の雄大壮美な自然の中で繰り広げられる感動の物語」と絶賛する。


> 大反響を呼んだ連載 「生涯大切にした生き方が投影されている」

> 執筆にあたり、戸川は現地に3年間通い詰めたが、毎日新聞本社から「危険なことはやめてほしい」と電報を打たれるほど、取材で悪戦苦闘したようだ。そうしてようやくこぎ着けた連載を前に<山頂から見渡す大雪連峰はまさに「白き神々の座」だった。私はこんど、この天地を舞台にペンを走らせてみたいと願った。出来る、出来ないは別としてこの雄大な大自然が私の血を激しくかき立て力づけてくれたからにほかならない>(本紙北海道版56年11月30日付)と力強く抱負を語っている。

> 綿密な構想と取材の成果もあってか、毎回、卓越した描写力と物語性で北海道の自然美や人間と動物の関係性などを描き、読者を魅了した。予定した100回を大幅に超え、計351回続いた。「キバや早苗を死なせないで」という手紙や電話、電報が相次ぎ、「キバに肉でも買ってやってください」と金一封が送られてくるほど反響を呼んだ。道徳の副読本にも採用されたほか、後に漫画家の石川球太さんによる漫画が「週刊少年マガジン」に連載され、全国の子供たちを熱狂させた。さらに日本アニメーションがテレビアニメ化し、78年にフジテレビ系列で全国放送された。

> 少年時代に石川さんの漫画「牙王」に親しんだという新評論の武市一幸社長は「60年以上前の作品であるにもかかわらず、自然との共生、動物愛護、人間関係のあり方などは現代に通じる。ぜひ幅広い世代に読んでもらいたい」と復刻の狙いを語る。

> 今回の新装版には、戸川の次女久美さんも解説を寄せている。父の遺志を継ぐように、生物多様性と豊かな自然環境を守ることを目指してNPO法人トラ・ゾウ保護基金(東京・虎ノ門)を設立し、理事長を務めている。久美さんは「父は、北海道の雄大で厳しい自然にとても引かれていました。そういう環境でも懸命に生きる姿を(小説で)伝えたかったのだと思います。父自身も最後まで一生懸命生きた人でした。『牙王物語』には、父が生涯大切にした生き方が投影されています。これから日本の将来を担っていく人たちや、日本語を学んでいる学生さんたちに読んでほしいです」と話す。

> 挿画は動物画の第一人者、田中豊美さんが担当し、リアルで迫力ある動物たちの生態や、ヒロイン早苗との心温まるふれあいが描かれている。定価1944円。


<北海道・東川町:戸川幸夫「牙王物語」新装版復刻 大雪山で作家の足跡をたどる(毎日新聞、11月14日)>
https://mainichi.jp/articles/20181113/mog/00m/040/025000c

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『アイヌの猟師が飼う猟犬とであい』の『であい』は原文では漢字

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