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設置公開<2010年7月23日>

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[ざつだん]Eテレ8月4日(火)午後0:50「視点・論点 手書きの“力”」 - 磯津千由紀(寫眞機廢人)@dynabookQosmioD711/T7CW

2026/08/07 (Fri) 21:53:53

 こんばんは。


> 子どもの文字を書く力の低下は文章作成能力にも大きな影響を与えるという分析結果が明らかになった。デジタル化が進む現代、手書きの“力”について改めて考える。


 学習段階の子供にとっては、スマートフォンやパーソナルコンピューターなどのデジタル機器で文章を「書く」ことは、漢字を書く力が低下すぅるのみならず、言語能力(文章力)が弱まると言います。
 手書きの方が学習効果が高いことが種々の研究で発表されてるとのことです。
 また、生成AIは主体的に考えることをしないため、ツールとしては有用ですが、生成AIに書かせることは創造力の発達に悪影響を及ぼすそうです。


> 大塚貞男「手書きの“力”」
> 兵庫教育大学 准教授 大塚 貞男

> 皆さんは、思いついたことや予定をメモするとき、どうしているでしょうか。デジタル化が進んだいまでは、書類やメールの作成だけでなく、ちょっとしたメモにもスマートフォンなどのデジタル機器を使うことが珍しくありません。

> こうした変化の中、文化庁の令和3年度世論調査では、デジタル機器の普及により「漢字を手で正確に書く力が衰える」と答えた人が9割近くに上りました。使う機会が減れば、その力が弱まるのは自然なことです。ひらがなが46字であるのに対して、常用漢字は2,000字以上あり、字形も複雑です。書く機会が減れば、正確に書けなくなる。それを多くの人が実感しているのがわかります。

> そこでまず、デジタル化が漢字を書く力に実際に影響しているのかを、データで確認したいと思います。私たちは、日本漢字能力検定協会の協力を得て、その大規模な受検データを調べました。

> 同じ検定問題の受検者が最も多く、年齢層も幅広い2級に注目し、2006年と2016年のデータを分析しました。比較したのは、中高生、大学生年代、成人早期、成人中期の四つの年齢層です。その結果、漢字の読みや意味理解の成績については、両年で明確な違いはありませんでしたが、書きの成績だけは、2016年の成人早期で相対的に低下していました。この成人早期にあたる20代から30代は、2008年のスマートフォン上陸以降、最も普及が進んでいた年齢層です。この分析で見られた違いは、そうしたデジタル化の進行と関係している可能性があります。

> では、その影響は「漢字が書けなくなる」だけなのでしょうか。もしそうであれば、いまの成人がそうしているようにデジタル機器で補えばよいかもしれません。しかし、それが子どもにも広がり、文字を書く力が十分に身につかないまま成長するとしたらどうでしょうか。そして、その影響がより複雑な言語能力の発達にまで及ぶとすれば、問題はより深刻だと言えます。

> そこで私たちは、漢字を書く力が文章力に及ぼす影響を確かめるために、漢字能力検定と文章読解・作成能力検定の両方を2019年度に受検した中高生のデータを分析しました。

> その結果、漢字の意味理解の力は、文章読解力の基礎となることで、間接的に文章作成に関わっていました。一方で、漢字を書く力は、文章作成能力を直接左右する重要な役割を担っていることがわかりました。今後も日本語を使い続けるかぎり、漢字の意味理解の力は概ね維持されると考えられます。しかし、この分析では、「漢字の意味が十分にわかっていれば、文章を作成するための漢字能力としては事足りる」という考えは支持されませんでした。このことから、10代までに培った文字を正確に書く力、あるいはそれを身につけるプロセスが、文章作成の礎を築いていると考えられます。

> 大学生を対象とした研究でも、同様の傾向がみられました。漢字を読む力や意味理解よりも、書く力が文章作成能力と強く結びついていました。この研究では、大学生がパソコンを使って作成した文章を分析しました。つまり、文章作成にデジタル機器を用いる場合であっても、漢字を正確に書き分ける力といった、文字を書く力がその基礎にあることが示されたのです。
この研究で文章作成能力の指標としたのは、「意味密度」です。米国の「ナン・スタディ」と呼ばれる有名な研究では、20代前半に書かれた文章の意味密度の高さが、晩年における認知機能の維持と関係していたと報告されています。もちろん、これだけで若い頃の書字経験が将来の認知機能を決めると言えるわけではありません。
> しかし、成人までに文字を書く力をしっかり身につけることが、高度な言語能力の土台となり、ひいては広く知的能力の生涯発達を支えている可能性があります。

> もっとも、だからといってデジタル化そのものを否定するつもりはありません。スマートフォンなどのデジタル機器は、いまや私たちの生活に欠かせない存在です。デジタル機器には様々な利点があり、書くという行為に限定しても、その負担を大きく軽減しました。キーボード入力は動作が単純で早く、出力された文字は均質で読みやすいという特徴があります。そのため、手指の細かな動作が苦手で書字に困難がある子どもにとって、デジタル機器は大きな助けになり得ます。

> しかし一方で、近年の心理学や脳科学の研究によって、読み書きの習得に関しては、やはり手書きが有利であることが明らかになってきました。読み書きを始める時期の幼児を対象とした欧米の研究では、手書きで学習した方が、キーボード入力で学習するより、文字や単語の読み書きにおける学習効果が大きいということが繰り返し報告されています。

> キーボード入力では、異なる文字を入力しても、手指の動作は比較的均質です。一方、手書きでは、一文字ごとに異なる複雑な運動が必要になります。手首から指先の動作によって筆圧や線の運びを細かく調整し、ペン先を介して紙の抵抗を感じながら文字を形作ります。そのプロセスでは、手指の運動感覚だけでなく、視覚や触覚など複数の感覚が同時に働きます。こうした多感覚的な経験が、文字や単語を記憶する際の手がかりとなり、読み書きの習得を促すと考えられます。

> では、タブレットで手書きをする場合はどうでしょうか。紙とタブレットで手書きをした場合、読み書き学習の効果にどのような違いがあるのかは、現時点で明らかではありません。しかし、予定を書き込んだ後の記憶想起の正確さと脳活動を比較した日本の研究があります。この研究では、紙の手帳を使った方が、情報をより正確に思い出せる傾向がみられました。さらに、新しい情報の記憶に関係する脳領域や、言語や視覚に関わる脳領域において、タブレットを使うよりも強い活動が見られ、紙の手帳に優位性が認められました。紙の手帳では、紙の手触りや、ペン先を画面上で滑らせるのとは異なる紙特有の抵抗や手応えといった微細な感覚が加わります。紙に手書きをしたときのそうした豊かな感覚情報が、記憶、そして読み書き習得に有利に働くのではないかと考えられます。

> では、AIが文章を作成してくれる時代に、私たちは自ら書く必要があるのでしょうか。AIは既存の言語パターンを組み合わせることで、もっともらしい文章を瞬時に作ることができます。しかし、身体感覚や体験に基づいて、主体的に考えるわけではありません。

> 手書きの遅さは考える時間を生みます。紙に書く手応えは、実感を与えます。そして、書かれた文字にはその人らしさが表れます。私は、こうした身体性を伴う経験が、人間らしい思考活動の下地になるのではないかと考えています。創造の起点では、からだの感覚に支えられた迷いが、発想の芽を育てるのではないでしょうか。

> デジタル機器は、私たちの生活を支え、教育の可能性を広げてくれる強力なツールです。大切なのは、それぞれの特性を理解し、発達段階や目的に応じて使い分けることだと言えます。これからも、手書きとデジタルの効果的な使い分けに資する基礎データを積み上げていきたいと思います。


 NHKプラスでご覧ください。(配信期限 8月11日(火) 午後1:00)

<視点・論点 手書きの“力”(NHK)>
https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-Y5P47Z7YVW/ep/8MV4ZL88Y6

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